うめAUDIO(仮称)


作例集・回路図・素人解説 周辺回路2


電子ボリューム
電子ボリューム2
バンドパスレベルメータ
バッテリーチェッカー
バッテリーチェッカー2
FET選別治具
アンプセレクター
 

 

電子ボリューム回路図(PGA2310)可変抵抗式


電子ボリューム回路図(PGA2311)可変抵抗式


PICCソースコード+HEXバイナリ(PGA2310/PGA2311共通)

   
 
[2007/05/12 更新]

 各部品の精度やグレードを上げてみて、満足の出来るものができたとしましょう。さて、音量調整にVRを 使っている場合、その抵抗値を左右計測してみましょう・・・すごくバラついてます。安いVRでもうまく アタリをひいて試聴しても特に違和感が無かったとしても実際計測してみると愕然とするシーンが多いはずです。 千石2Fの\150VRでも、\500クラスの高級VRでも、きっちり揃ったものというのはなかなか無いものです。 \2000以上のデテントでも、僅かな差違というのは出てしまうでしょう。
 そこで多段階のロータリースイッチを用いてアッテネータを作るという手段も思いつきますがサイズが大きく なり、さらに値段も跳ね上がってしまいます。細かい数値をE24系列からチョイスする作業も楽ではないですね。

 そこで登場するのが電子ボリュームです。様々な仕様のものがありますが今回使ったのはバーブラウンのPGA2310 です。後続型のPGA2311は+5V単電源で訂正:アナログ±5Vとデジタル+5Vの3電源仕様で 動作しノイズも少ないという話ですが、前身のPGA2310はアナログ用に ±15V(動作範囲は±4.5V〜±15.5V)とデジタル用に+5V(+4.5V〜+5.5V)の3電源を必要としてノイズもやや多めな 半面、音に「味」があるという評判を耳にします。
 シリアル3ビットの制御データを送信してゲインをコントロールするのですが、今回は8Pin-DIPのPICワンチップ マイコンPIC 12F675を使用します。同様の回路例やPICソース・ファームウェアを公開されているサイトがいくつも ありますが、そのまま流用しても面白くないのでソフト屋の意地もあって自作する事にしました。

 PIC用のアセンブラはMicrochip純正のMPLAB7.5を、統合環境に組み込むCコンパイラとしてHI-TECHのPIC C Lite フリー版を使います。フリー版は出力されるマシン語コードの上限に制限がありますがPIC 12F629やPIC 12F675では 制限値=上限なので特に制限なく製品版と同じです。
 環境構築の仕方や使い方などはチュートリアルをまとめているサイトが沢山あるのでここでは割愛します。また、 PICを書き込む(焼き込む)ためのPICライターは市販のものを使っても構いませんが、私は別の用途向けに数年前 自作したJDMライターというRS232Cで制御する自作ライターがありますのでこれを使います。JDMについての製作記事や 12F629/12F675への焼き込みの際の注意事項(補正値の扱い/内蔵OSC動作で書き込み時に問題が起きる/制御信号を 遅延 など)もまとまっているFENG3さんのサイトを是非是非熟読してみて下さい。
 開発環境が無料で構築でき、ライターもうまくつくれば\1000前後で出来ますので貧乏電子工作には本当に有り難い です。
 注意事項をひとつ、コンパイルして出来上がったHEXをそのまま焼いた時に前の方のアドレスと後ろの方のアドレス の間に未使用領域0x3FFFが挟まっている場合があります。バンク切替の回数を最小限にするためのコンパイラなりの 最適化結果なんでしょうけど、これが曲者でして自作のライターだと0x3FFFを通り越して後半のプログラムエリアを 書きに行くタイミングで1ワード化けてしまってベリファイでエラーが出ることがよくあります。未使用の0x3FFFは 書かずに飛ばしている動作をどうやらIC-Progが行っている模様。これを回避するために私は0x3FFFで埋められている エリアを手動で編集し0x0000で埋めています。範囲指定して一気に埋められますので0x3FFFが現れる先頭アドレスと 最終アドレスを入力し、数値を0x0000にする操作です。これで0x0000も書き込みが行われ、書き込みは連続で行われる ようになりベリファイ時にエラーが出なくなります。チャージポンプのような動作で電圧を作っているJDMライター ならではの現象だと思います。書き始めが不安定。

 回路説明。Bカーブの単VR(2連は使わないで1つでコントロール)の両端には+5VとGNDが印加されており、 分圧された電圧がボリュームの値としてPICに入力されます。PICでのA/D変換時の参照電圧は+Vと同じになっており、 A/D変換によって10bitのデジタル値が獲得できます。PGA2310はコントロール幅が8bitなので獲得された10bitの上位 8bitのみ使用します。この8bit値ですが、A/D変換の精度の低さやノイズの影響もあってか、数値が安定しません。 誤差吸収のためさらに2bitをまるめこんで64段階の制御値として、さらに閾値付近での揺らぎを防ぐために上昇と下降 で判定を変えてヒステリシス性をもたせておきます。
 こうして獲得された64段階のデジタル値はBカーブによるものなので、内部に変換テーブルをもってAカーブへ 数値を割り当てます。PIC 12F675は最大6本のI/Oを扱えますがA/D入力用に1本、PGA2310の制御用に3本、リレー制御 に1本割り当てるためあと1本余ります。シャットダウン検知してミュートする作例がいくつかあるようですが筆者の 方式ではリレーをメインスイッチと連動して一気に切ってしまう作りのため不要で、この余った1本を使って変換テーブル を選択できるようにしてみました。
 PGA2310は制御可能なゲインが -95.5dB〜+31.5dB と広く、最大を0dBとすることで後段のアンプに対する減衰機に、 最大を20dBにすることでPGA2310単体で10倍のアンプにも出来てしまいます。ということでゲインカーブ選択のジャンパ をOPEN(+5V)でmode=ATT、CLOSE(0V)でmode=AMPとなるようにしました。
 OPENでは-95.5dB(0倍)〜0dB(1倍)に、 CLOSEでは-95.5(0倍)〜+20.5dB(約10倍)とします。Aカーブの変化は 実際にAカーブのVRから読み取ったグラフを補間してグラフを見ながら微調整したものです。
 読み取りの速度と精度の問題から、一気に大きくVRを動かした時に急激に変化する結果となってしまうため、音量設定 用のBカーブVRにはコンデンサを挟み、なだらかに変化するようにしています。10uF〜100uFくらいで良いでしょうか。 100uFだとかなり緩慢に変化し1秒〜2秒程度で設定値に変化しきります。変化量は好みに応じてコンデンサ容量を選択して 下さい。

 動作仕様をざっと説明します。まず電源が入ると内部で約2秒待機し、他の素子の立ち上がりを待ちます。1秒程度 でも良いでしょうが長めにとってあります。次にPGA2310をボリューム0に初期化し、そしてリレーをONに制御します。 リレーにスイッチが入ってから0.5秒ほど置いてから初回のA/D読み取り変換を行ってその値まで約3秒かけて多段階で ボリュームを上げていきます。最大24段階でフェードインする形になり、いきなり大音量になって焦ることは 無いでしょう。この後は定期的にA/D変換を行って前回値との比較を行い閾値を越えたらその値を変換テーブルで読み替えて PGA2310を制御します。

 さて、肝心の音ですがノイズは僅かにあるものの問題ない範囲です(高効率のヘッドホンでは耳障りかもしれませんが)。 OPA2604傾向というよりもOPA2134系でしょうか、いずれにせよバーブラウンの音です。音量切替時に内部でスイッチしている タイミングでしょうか、プチっと小さい音がしますが無音状態じゃない限り気になりません。
 左右同時に制御していますのでギャングエラーは皆無、個体差による左右の誤差があるかと思いましたが左右同音量の 250Hz・500Hz・1KHz・2KHz・4KHzでそれぞれ連続波形(可聴域のチェックツール)をPCから出して電圧計測してみたところ、 ピッタリと数値が揃ってくれました。

 千石で\200程度で扱っているLC75366など、他の種類の電子ボリュームもなかなか魅力ですがアナログ制御向きではないので UP/DOWNで音量決定するデジタル的なインターフェースで作ってみると良いかもしれません。いずれ作ってみてまた回路とファーム を紹介したいと思います。

※写真追加:1枚目全景(上に乗っているのは5パラのエージング用基板)銅箔ベーク板をアングル金具で保持して簡易フロントパネル にしてあり、あれこれ切り替えたり部品を変えたり遊ぶのに適した半バラックです。 2枚目が部品面で3枚目はハンダ面(イモハンダ傾向で決して上手くないですね、無駄なジャンパ多いし)、 4枚目は平常時でリレー制御をモニタしてる赤LEDのみ点灯、5枚目は制御コードを送っている最中でチップセレクトの緑と データビットの青が光っていますが撮影時にシャッターが開いている最中に変動させるのに苦労してます(笑)。 回路図ではリレーへの供給電源をメインスイッチに連動させて切っていますが実際作ったものは電源ユニットの主電源が2回路ぶんしかない スイッチしか手許になくまだ配線していないのでコネクタにジャンパが入れてあります。 PGA2310は電源OFF時のポップノイズがひどく、/MUTE信号も殆ど役に立たないという噂なのできちんとメインスイッチに連動してブチ切って あげる必要があるでしょう。

※PGA2311用の回路図を追加しました。アナログ用の正負電源が±5Vになっただけです。

 

電子ボリューム2回路図(PGA2311/2310)アップ/ダウンボタン式


PICCソースコード+HEXバイナリ(PGA2310/PGA2311共通)
※上限値0xC6(198)、保存値0x7F(127)の状態で書き込まれます。

 
 

[2007/07/30 更新]

 前バージョンはVR+A/Dコンバーターにて音量決定し調整しましたが、今回はポータブル機向けにUP/DOWNボタン式です。 (どんなに小型なVRでも体積がありますので小さく作りたい時に邪魔になりますからね)
 動作仕様をざっと説明します。まず電源が入ると内部で約1秒待機し、他の素子の立ち上がりを待ちます。次にPGA2311を ボリューム0に初期化し、そしてミュート解除します。さらに0.5秒ほど置いてからEEPROMに保存されている値まで約3秒かけて 多段階でボリュームを上げていきます。最大16段階でフェードインする形になり、いきなり大音量になって焦ることは 無いでしょう。この後はボタン入力を監視し、一定時間以上押されないとスリープモードに入ります。ボタンが押されるとスリープ から復帰し、音量の増減を行います。最小0でそれ以下にはならず、最大255でそれ以上にはなりません。
※制限事項:両端では保存できなくしてあります。両端どちらも極端な音量設定ですので通常は操作しない範囲だと思うので これでよしとします。

 変化に応じて毎回EEPROMに書き込みを行うような作りにしてしまうと、PICのEEPROM書き換え回数が保証回数を上まってしまう可能性 があるため、保存は別の操作にしました。普段よく使う音量にしたら増減ボタンを両方同時に押します。押し続けていると書き込みが行われ、 それを解りやすくするために一瞬だけミュートがかかり音が途切れてから元に戻ります。この音の途切れで書き込みの完了を判断して下さい。 次回は電源投入後のウェイクアップで保存された音量に自動的に復帰します。(保存値はEEPROMのアドレス0x00010423(2バイト目)に 書かれています。上限を255までにしたくない場合は1バイト目のアドレス0x00010421に値を書いておくとそれが最大値になります。)

 アナログ用の電源に±5Vを使用した回路になっているのでPGA2310とPGA2311のどちらでも動きます。PGA2310の標準電圧は±15Vです がデータシート上では±4.5Vから動作すると書かれているので、とりあえず程度に考えておいて下さい。

 PICのGPIO3,GPIO4,GPIO5は5.1KΩを介してプルアップされていますが、これはGPIO3(入力専用オープンドレイン)が内部プルアップ出来ない 仕様のため抵抗を使った外部プルアップになっているのです。

 ※写真は高精度ウィルソン分圧で006P×2から電源をとり、電子ボリュームを経由してから単純なCMOY構成の1段非反転アンプです。 バッテリーチェッカー回路(2)も隙間に入れ込んであります。

 ※2007/07/30更新 ファーム修正:スリープから復帰する際に一瞬ミュートがかかってしまう事があったため小変更。

 

バンドパスレベルメータ回路図

 
[2007/04/26 更新]

 レベルメータと題していますが1つのLEDによって一定レベル以上での点灯を行っているだけです。 OPAMPの非反転増幅回路に付随するコンデンサと抵抗によってハイパスとローパスのフィルタリング を行い、帰還部でカットしています。ごく普通のOPAMPを使った積分・微分回路です。
 今回は手持ちの部品で出来るような定数を選びコンデンサは、どこのご家庭の工具箱にも入っている(ねーよ)0.1uF, 0.01uF, 0.047uF と位相補償の22pF、カップリングコンデンサの100uFのみで構成されています。一部0.2uFを使うところは0.1uFを2つ 並列にします。

 カットオフ周波数を回路図中に記載していますが、-6dB/OCTでの減衰なので実際には大きめにクロスオーバーする 結果となり、単一の周波数のみ入れても2つのLEDが点灯する範囲がそこそこあります。OPAMPにてゲイン5〜6程度に増幅 されますがそれでもmVオーダーなためLEDを点灯するだけの能力はありません。OPAMPの後段にトランジスタを1石いれて 増幅しています。2SC1815や2SC945等の適当なもので良いでしょう。Yクラスのなかでも大きめのhFEをもつものかGRクラスを 選んで下さい。今回使った2SC945は概ねhFE=180〜200程度のものをチョイスしています。エミッタ側100Ωでコレクタ側10KΩ となっており100倍程度のゲイン設定になっていますが抵抗をとっぱらっても結局はhFE値までしか増幅されないので、実質は ゲイン決定というよりも電流制限のために入れているようなものです。
 筆者環境ではヘッドホン出力から入れていますのでレベルの不足はありませんがラインレベルでは少々足りないかもしれません。 トランジスタを変えてみたりエミッタ側とコレクタ側の抵抗値を変えて調整すると良いでしょう。OPAMP側のゲイン抵抗値を変えて しまうとカットオフ周波数が変わってしまいますので計算した上でコンデンサも一緒に変えないといけません。

 左右で点灯開始する周波数のバラつきが少々出てくるため可変抵抗で微調整をして下さい。(しなくてもたいして気にならない ような気もするので全部固定抵抗で組んでしまって良さそうですが) 筆者はPCにて単一の周波数を左右同音量で出し続ける 可聴音域チェック用のフリーウェア「耳ベンチ」を使用して動作確認と調整を行っています。「earbench.exe」で検索するとすぐ 見つかると思います。※大音量で鳴り響くのでマスターボリュームに注意。
 余談になりますがこのツールは非常に便利で、ヘッドホン出力が左右揃っているかAC電圧をテスターで測ってみたり出来るので オシロスコープを持っていない環境では非常に役に立ちます。
 筆者のPCに積んでいるSoundBlaster Live! DigitalAudioからのS/PDIF出力を経由しONKYOの外付けDSPに入れてヘッドホン端子から 出ている電圧を測ると結構違っていました(現在は左右電圧が揃うようSoundBlasterのプロパティ画面でバランス調整して 追い込んでいます)。

 トータルのゲインを大きくとってLEDを点灯させているため、結構大きめのノイズを吐きます。 +V 及び -V をヘッドホンアンプ 回路と共用する場合は100Ω程度の抵抗を介して、1000uFクラスのコンデンサでデカップリングしておく必要があります。筆者環境 ではこれでクロストークによるノイズ流入が改善されました。回路図左上に接続例を図示してあります。
 この方式はかなり有効なので各種バッファ部の電源とOPAMP本体の電源を分離するのにも役立ちます。原典はHeadpropsさんの 「ゲイン可変・DCサーボ・MOS-FETバッファ・帰還切替 ヘッドフォンアンプ」ですので是非参照を。

 今回は単純に低域・中域・高域を左右1コずつのLEDで点灯させる仕組みになっていますがBPF幅をもっと狭くして段階数を増やし、 電圧に応じて点灯するLED数を変えるなどして本格的なレベルメーターにすることで簡易的なスペクトルアナライザにも応用出来るかと 思います。弦楽器の単音が入ってきた時に倍音成分で高域のLEDまで点く様子をぼんやり見ながらしっぽりと音楽鑑賞というのも 良いのではないでしょうか。インテリア的な意味合いしかないお遊び工作ですがそこそこ楽しめます。

 写真の様子は電子ボリュームユニットにバンドパスレベルメータがのっかり、更にFETバッファユニットを積んだ単OPAMP基板です。 通常の音楽ソースの場合はだいたい2つ以上のLEDがひっきりなしに点滅するような動きになり、結構華やかというか派手です。筆者は 低域から順にRGBにしていますが青単色で揃えるなどそのへんは制作者のセンスに任せます。このように2V, 3V, 3.3V が混在 しても特に問題なく点灯出来る回路にしているつもりです。

 

バッテリーチェッカー回路図


[2007/07/08 更新]

 昇圧用のDC-DCコンバータを使って単3電池4本から±12Vを作ってポータブルのヘッドホンアンプを作ってみましたが、 使用した V-INFINITY 製の VASD1-S5-D12-DIP というDC-DCは入力電圧の範囲が4.5V〜5.5V、ところが実際には入力電圧に 出力が影響され電圧が変動してしまうようです。電圧が下がってくると大きめの音量で音割れがしはじめるものの、すぐには 動作しないほどにまで下がらないので電池切れかどうかその度にテスターで電圧を・・・というのは出先では出来ないので 簡易的な電圧計を作ってみました。

 OPAMPをコンパレーターとして使い、適当に安い4558あたりをチョイス。基準となる電圧をツェナーダイオードで作り、その 電圧から抵抗分圧によって相対的に大小を比較する回路です。ツェナーダイオードは手持ちの適当なものを使っていますが 分圧の抵抗計算をしてやって適宜抵抗値を変えれば3V〜6V前後のツェナーダイオードなら何でも平気です。
 今回の回路では4V〜6Vくらいのツェナーダイオードで問題なく動かせるように可変抵抗の5kΩを入れています。使ったDC-DC は正電源と負電源はきっちり同じ絶対値のまま変化しているようなので正電源のみ測定し、2V間隔で4段階のLED点灯としました。 8V以上あれば一番下のLEDのみ点灯、10V以上あれば下から2つのLEDが点灯という感じです。
 分圧の抵抗が全部で10kΩにしているので1kΩあたり0.6V、被測定側は1/3分圧なので8V,10V,12V,14Vとは若干計算値としては ズレますので5kΩの半固定抵抗で調整します。

 サンヨーのeneloopを4つ使った場合、満充電では全てのLEDが点灯し14V近く出ていますがすぐに1つ消えて12V以上の 状態がずっと続きます。音が割れ始めてきたかな?と思ったらチェック用の押しボタンSWを押してやってバッテリーチェッカー 回路に電源を供給し測定する使い方です。3つ点灯なら±12Vがきちんと出ていて問題なし、2つならもうじき切れる・・・という 感じです。

2007/07/08:実装の様子を撮った写真は後日、ポータブル機が完成したら掲載予定。


 

バッテリーチェッカー2回路図


PICCソースコード+HEXバイナリ


[2007/07/22 更新]

 006P用の電池スナップを使って006P(9V)、単3用の電池ボックスを繋いでアルカリで6V、NiMHなら4.8V、ACアダプタを 繋いで12V、等々仮想GNDを作り出す分圧回路を用いて複数の電源に対応したアンプを作ると前項のバッテリーチェッカーのよう に1V刻みでも多数のLEDとコンパレータを実装しないといけません。そこで、RGBフルカラーLEDと1チップマイコンを使って シンプルな構成の多段階チェッカーを作ってみました。(表示パターンは全然シンプルじゃないですが) 点灯パターンを変更。

 PIC12F675のADコンバーターを使って電圧を測定し、段階に応じて点灯・点滅させます。

 
点灯・点滅色 電圧
 マゼンダ点灯 〜4.4V
  赤点灯 4.5V〜5.4V (単3×8)
 黄点灯 5.5V〜6.4V
  緑点灯 6.5V〜7.4V
 シアン点灯 7.5V〜8.4V
  青点灯 8.5V〜9.4V (006P×2)
 マゼンダ点滅 9.5V〜10.4V
  赤点滅 10.5V〜11.4V
 黄点滅 11.5V〜12.4V (24V ACアダプタ)
  緑点滅 12.5V〜13.4V
 シアン点滅 13.5V〜14.4V
  青点滅 14.5V〜

 PICの動作電圧及び基準電圧のための+5Vを78L05で作っています。±3.5V〜±15Vまで様々な電圧で動作できるように [+V]〜[-V]までの全体から[-V]を基準とした+5Vを作り、ADコンバーターにてGND〜[-V]間の電圧を1/3にして測定します。 誤差が大きい場合はこの1/3分圧を行っている20KΩか10KΩを半固定抵抗にして調整して下さい。
 プッシュボタンを押した間だけ電圧計測を行ってLEDを点灯/点滅させ、それ以外ではスリープさせているため出来るだけ消費電力を節約 していますが78L05は常に動作しています。これが気になる場合は通常[+V]をスイッチで遮断し、計測する時だけPIC及び78L05に通電される よう変更するといいでしょう。

 多少シンプルに直したのですが、それでもまだ点灯パターンをどこかに書いておかないとさっぱりわかりませんw 通常の電圧さえ 覚えておけば電圧が降下しはじめたかどうかの判断は可能ですので部品点数が少ないシンプルな電圧計としてとりあえず機能します。 ケース裏面にでも対応表を貼っておくといいのかもしれません(まぬけだ)。

2007/07/15:実装の様子を撮った写真は後日掲載予定。


 

FET選別治具

[2009/09/26 更新]

 プッシュプルソースフォロアの回路をいくつか載せていますが前提となるのがFETの特性です。JFETの場合はIdss及びVgsを、MOSFETの場合はVgsを揃えたペアを正負に割り当ててやる必要があります。もちろんバイアスの調整機構のある回路では調整してしまえば良いわけですがFETのバラつきというのは大きいときには2割近くのズレとなり調整不能となることもしばしばあります。そこで選別をするわけですが、「どこまで追い込むのか」「合わせるべき条件とは何か」を理解しておく必要があります。

 有名店でペア取りしたものをやや高値で売ってくれていますがこれってどういう条件でどの精度まで追い込んだものでしょうかね? ペアのものを購入してきて自分で計ると結構違ったりしますが測定条件やペアとして適合させる精度が違えば結果も違ってきて当然と思っています。決してぼったくりだとかいい加減なものを 売っているのではないと私は思います。
 で、自分で多数買ってきて選別するわけですが治具を用意しておくと便利です。電池のつなぎ替えやスイッチでの切り替えだと結構間違えるものなので別回路としてP-chとN-ch用にそれぞれ用意するのがいいと思います。

 まずJFET、Idssを計るにはVRを最小にしてDMM2が0Vになるようにします。要するにゲートとソースをショートした状態で流れるドレイン〜ソース間の電流を測定します。JFETはこの状態で一番電流が流れますので最大値を測定するというわけです。この回路では0.01mAまでの小数点2桁までを計るに当たって精度不足を補うために高精度の抵抗1KΩを挟んでその両端の電圧を測ってDMM1を電流計の代わりにしています。4.5Vを示せば4.5mA流れている事になります。この電流値がIdss、メモったら次はVRを回していってDMM1の数値が1.00V(つまり1mA)丁度になるように調整します。この時のDMM2の電圧がVgsとなります。同様に2mAや3mAなど計っていってグラフを書いてやってそのカーブまでぴったり合うものが本当の意味でのコンプリペアとなります。おおよそ同じカーブになるはずなので1mAと3mAのように2点程度プロットしてやれば充分かと思います。小数点以下何桁までの合致でペアとするかは使用者に任せる形になりますが私の場合は出来れば初段に使うものなら1%以内に、最終段に使うものなら5%以内に追い込みたいと考えます。

 次はMOSFET、Vgsを計ります。まず最初はVRを最小にしておいてDMM2が0Vを指すようにしておきます。DMM1はmAレンジで電流計にしていますが2W 1Ωくらいの高精度な抵抗を入れて両端の電圧を測っても構いません。アイドリング電流10mA〜50mAの間でしか私は使わないためDMMのmAレンジの精度で特に問題ないため電流計でそのまま測っています。K213/J76であれば20mA〜30mA、30mA流すと大きめの放熱板が必要になるので20mAを常用してますが測定時の温度が数値に大きく影響するので測定時には放熱板をつけておきましょう。VRを0から徐々に大きくしていってDMM1が目的のアイドリング電流になるようにします。この時のDMM2の電圧がVgsです。
 MOSFETの場合、過電流を流すと危険なので必ず測定毎にVRを0Vに戻してから測定するようにします。

 MOS-FETは最終段に使うケースが殆どなのであまり神経質に追い込む必要は無いでしょう。5%以内なら特に問題無いんじゃないでしょうか。JFETを初段に使う場合は追い込んだほうがいいですね。

参考文献:
・誠文堂新光社 窪田登司著「半導体アンプ製作技法」 P31〜P33
・トランジスタなどの選別やペア組 http://homepage2.nifty.com/~mhitaste/audiotop/wisdom_page/parts_measure.html


 

アンプセレクター

[2010/01/04 更新]

 複数のヘッドホンアンプを聞き比べる時、ジャックを抜き差ししているとどうしても抜いているあいだのラグがあるので正確な比較ができません。そこでロータリースイッチを使って簡単なパッシブセレクターを作っておきました。
 ロータリースイッチは6回路3接点や6回路4接点などで良いです。うちは買い置きがあった8回路3接点のうち6回路分だけ使いました。また入力を2系統切り替えられるようにしておいたのでソースの切り替えも即時に可能。この回路図では6Pスイッチを使って信号のみ切り替え、GND共通としていますが買い置きの9Pスイッチが無かったためやむを得ずこうなっています。ま、上流のインピーダンスのおかげかクロストークのようなものは全く解らないので入力セレクターはこれで充分かと。

 アンプ切り替えのほうはショーティングタイプを使用しているためアンプにDCオフセットが無ければほぼ無音で切り替えが行われます。入力の6Pスイッチはごく普通のものなのでノンショートのため切り替え時に一瞬途切れます。

 できあがったセレクターをアンプ3種類に接続して音量を同じくらいになるよう調整、聞き比べてみました。ソースはPCのサウンドカードONKYO SE-200PCI LTDのアナログ出力とS/PDIFからONKYO ED-1外部DSPのヘッドホン出力でこちらもレベルを合わせておいて切り替え。

 1) MUSES01の2パラ
 2) MUSES02の2パラ
 3) LH0032G(AD)

 ・・・一瞬、音量を揃えただけの状態で切り替えていたら「ん?全く変わらないぞ(汗」という感じでしたがソースによっては一応なんとか違いがわかりますねw これで全く優位差無しとか出てしまうとかなり落ち込んでしまいます。
 しかしながら電源をしっかり正負2電源のトランス式からとった3つのアンプは極端な差異というのは無く、あまり細部まで拘ったところで「きっちり作っていれば一定以上の水準で拮抗する」んだなあと感じました。明確な違いになるのはポタ機、こちらは電池4本から昇圧して24Vを作り分圧して正負12Vを作っているものです。やはり低音の分離が悪く響きが弱い感じになります。

 1)はチップワンストップで先行予約にて購入したものですが既にNJM5720のサンプル(通常個人にはサンプル販売がありませんでしたが、発表初期から色々問い合わせていたためレビューを提出する事を前提に特例として送って貰ったものです)を持っていたので実を言うと散々鳴らしこんで聞き込んでいました。MUSES01になっても刻印が変わっただけで中身は同じですね。一言でいうならば「鮮明」な石だと思います。解像度が高く、中域から高域にかけてよく伸びます。

 2)は年末に一般販売が開始されたものでこれもチップワンストップで先行予約して購入したものです。MUSES01とMUSES02はいまや秋月でも取り扱っているのでチップワンストップで買うよりも安く入手が可能なんですけどね。この石はFET入力のMUSES01と比べて中域から高域の伸びというのはあまり感じられず、低域から中域の重厚さが特徴でしょうか。確かに解像度は高めで優秀ですがいまひとつこれをチョイスするような理由付けになる特色が無いように思います。\1000台で似たようなものがあるので信者専用という感じでしょうかねw

 3)はもうなんというか単体でバッファの要らない、パラにする必要もないという優れものです。全域にわたって透き通った音のままで電流がとれており、音が太いくせに解像度を犠牲にしません。高精度OPAMP+LT1010またはHA5002といった組み合わせを詰め込んでいるような感じがしています。現在すぐに交換が可能な状態にないためNS製のものと聞き比べるにはオフセット調整やらなにやら時間がかかるため厳密な比較が出来ませんが、NS製はきらびやかでAD製は重厚という感じで少し違います。そしてAD製のほうが発熱が多い。

 上記の3アンプはともに出力電流をカバーすべくパラであったり内部に大きめのアイドリング電流を流した終段バッファをもったものだったり、供給能力としては満足のゆくものになっているので本当に差異というのは僅かです。ブラインドテストで当てる自信がものすごく無いですねw 他者と比較してようやく違いがなんとか言えるかどうかというレベルでしかありません。
 なんというか、もう性能の頭打ちなんじゃなかろうかと思いますがあれこれ自作して実験してあがいてみようと思います。


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